語学、翻訳、海外生活

語学、翻訳、海外生活に関する記事が多いですけれども、そのほかの話題もあります。今日明日の仕事や生活に役立つかどうかは分かりませんが、「面白い」と思って下されば、書き手冥利に尽きます。

ウクライナ戦争に思うこと

世界中の注目がウクライナ戦争の動向に集まっている。ロシアは、旧ソ連領であったウクライナを取り戻そうとして戦争を仕掛けた。東部の地域を実効支配し、核爆弾を使うこともちらつかせ、自国領にするような勢いだ。欧米諸国、それから日本は、団結してウクライナを支援している。核を持っていれば、国境の現状変更は思いのまま、という前例を作れば、ほかの核保有国も真似をするようになる。そうすると、自分の国もウクライナと同じように、核保有国の思うがままになる、という恐れがあるからだ。

 

しかし、我が国も、かつて東アジアで勢力を伸ばそうとしていたことがある。かつての日本、ロシア、中国、北朝鮮に共通しているのは、情報統制と言論統制である。この二つの手段を使えば、自国民と、自国の影響下にある国民は、自由に操れてきた。ロシアでは、官製以外のメディアはなくなった。ロシア国民の多くは、「ロシアは、ウクライナの軍事施設しか攻撃していない。ウクライナ市民を攻撃しているのは、ウクライナ軍である」というようなプロパガンダを信じこまされている。西側の情報をインターネットで受け取っているのは、ロシア国民の約一割だという。そのため、ウクライナ戦争はロシア国民の多くから支持されている。しかし、特に若者の間で西側の情報が入手できている。また、戦場から戻ってきた兵士たちが真の戦況を伝えてきている。そういうことから考えて、情報統制、言論統制がいつまでも続くとは思えない。

 

中国でも、政府検閲による情報統制と言論統制が徹底している。しかし中国共産党員の子弟の多くは、欧米に留学している。それらの子弟が留学を終えて中国に戻ったあと、中国のやり方に疑問を抱かないだろうか。一方、台湾では、メディアに対する政府検閲は原則的に存在しない。中国は台湾の主権を主張している.。統一を進める際に、まず情報統制、言論統制を行うと考えられるが、上手くいくとは思えない。無理に情報統制、言論統制を進めようとすれば、台湾独立運動が活性化するであろう。

 

まとめると、インターネットをはじめとするメディアで情報が瞬時に世界に拡散しつつある現代で、一時代前の情報統制や言論統制、それに基づく領土拡大は息詰まるのではないか。一日も早く、この戦争が終わることを祈っている。