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Ich Liebe Dich

フランスに長期出向している間、ピアノが好きな同僚や地元の友人に伴奏してもらってクラシック歌曲の練習をしていた。職場の有志で催すミニ音楽会があり、それに出演することになった。伴奏は、カナダ人の友人が快諾してくれた。ヨーロッパで知られている曲と、日本の曲と一曲ずつ披露することにした。一曲目はBeethoven作曲のIch Liebe Dich「僕は君を愛する」(正式な曲名は、Zärtliche Liebe「優しき愛」[1])、二曲目には、「平城山(ならやま)」[2]を選んだ。

 

演奏の後、職場のドイツ人の女性が握手を求めてきて、「Ich Liebe Dichを初めて聞きました。とても良かった。感激しました」と。彼女はドイツに住む父親に電話した際、この曲のことを話したところ、「それはベートーベンの有名な曲だよ。」と言われたとか。曲ができてから200年も経つのに、聞く人を魅了する詩人K.F.ヘルローゼーとベートーベンの偉業にあらためて脱帽。音楽は時代も国境も越える。

 

平城山」のほうは、フランスに滞在中、何度も披露した。フランス人はもちろん、日本人にも「初めて聞きました」という人が多かった。詩の意味と背景を解説したこともあった。この曲は、仁徳天皇の浮気に苦しむ皇后が背景にある。雅な生活を髣髴とさせるきらびやかな前奏と後奏が、皇后の苦悩を表す暗い曲調と対照的な名曲だ。丁寧に詳しく解説して、エピソードを交えて笑いも取ったが、長くなったし、たどたどしかった。それを聞いていた息子が、「お父さん、つぎは原稿を用意したほうがいいよ。」また言われてしまった。

 

[1] Ich Liebe Dich「僕は君を愛する」

[2] 平城山