語学、翻訳、海外生活

語学、翻訳、海外生活に関する記事が多いですけれども、そのほかの話題もあります。今日明日の仕事や生活に役立つかどうかは分かりませんが、「面白い」と思って下されば、書き手冥利に尽きます。

「?」「!」

世界で一番短い手紙のやり取りは、「?」「!」と言われている。これは、文豪ヴィクトル・ユーゴー(1802-1885)が、出版したばかりの「レ・ミゼラブル」の売れ行き具合が気になって、「私の本は売れていますか?」という意味をこめて、便箋の真ん中に「?」とだけ書いた手紙を出版社に送った。出版社は、「もちろん、売れていますよ!」という意味を込めて「!」と返信した、というものである。

以前、研究者だったので、「いい研究とはどんな研究か」ということを考えたことがあった。「ためになる論文」をいくつか読み、「感銘を受ける講演」をいくつも聞く機会に恵まれた。その多くには、「?」「!」が含まれていた。つまり、題名や要旨や、序文を読んだときに、「そんなことをして何の役に立つの?」「そんなことができるの?」「そんなことが有りうるの?」「うまくいくの?」といった疑問が起こる、要は意外性がないといけない。そして論文を最後まで読み終わったとき、あるいは講演の最後に、「納得した!」「面白い!」の「!」がないといけない。

自分の半生を振り返って、自分がどれだけ上記の基準に合う仕事をしたか、内心忸怩(じくじ)たるものがある。もう四半世紀以上前になるが、核融合の分野で数々の独創的な業績を挙げられた大河千弘先生[1-3]に、自分の実験の成果を聞いていただいたことがある。めったに褒めない先生であったが、しばらく議論した後、「面白い!」と言ってくださった。この一言が自分への自信につながった。研究所を退職した後も、パートタイムのボランティアとして大学の先生方と協力して研究を続けているが、上記の基準に合うような仕事をすることを目標にしている。

このようなブログにも同じようなことが言えないだろうか。読み始めは意外性(?)を、読後は、「納得した!」「面白い!」と感じていただけることを目標にしよう。

[1] 大河千弘 - Wikipedia

[2] https://en.wikipedia.org/wiki/Tihiro_Ohkawa

[3] https://fusion-holy-grail.net/